障害者福祉に携わって【むさしの青年寮 職員】
私が福祉の仕事を選んだきっかけは、「人と関わる仕事がしたい」「誰かの役に立ちたい」と思った事と、幼少期、近所に知的障害を持つ同世代の子がおり、一緒に遊んでいた経緯から障害を持つ人に対して誤った偏見や先入観を持たずにいられたことも大きかったと思います。
とは言え、いざ働いてみるとコミュニケーションの取り方から一苦労でした。十人十色という言葉があるように、一人ひとり感じ方も表現の仕方も違っていて、それぞれの思いに応えることは簡単ではありませんでした。利用者さんの真意を上手く汲み取れず、何を伝えたいのかしつこく聞き出そうとして怒らせてしまったこともありました。利用者さんに声を掛けても、なかなか動いてもらえず、先輩の職員が声を掛けると容易に動いている場面を見て「同じ言葉をかけているのになぜ私ではだめなのかな。何が違うのだろう。」と落ち込み、自分の力不足を痛感させられました。
そんな日々を積み重ねていくうちに、利用者さんのほうから名前を呼んでくれたり、言葉を発することができない利用者さんが笑顔を向けてくれたり、手を繋いで歩いてくれたりと、いつの間にか私という人間を受け入れてくれるようになっていました。今になって分かることなのですが、何をするにも日々の積み重ねが大切であるということだと思います。
そうして時間をかけ信頼関係を築いていくうちに、自分の思いが利用者さんに伝わった時や、利用者さんの新たな一面を発見したり、私たちが実施してきた支援の成果を感じたりすることができた時は、喜びもひとしおで、そういった小さな喜びが積み重なって、仕事を続けていく上での大きな原動力になったことは言うまでもありません。
誰かの役に立ちたいと思って入った福祉の世界ですが、辛いことや悲しいことがあった時も利用者さんの笑顔に支えられ、私の方が毎日の活力をもらっています。
これからも一人ひとりの生活や心に寄り添いながら、希望や楽しみ等の自己実現に向けて共に悩み、一緒に笑いながら思いを尊重する支援を心がけていきたいと思います。【むさしの青年寮 今井】